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開高健の文学世界 交錯するオーウェルの影

開高の全文学作品を取り上げ、開高の文体分析、オーウェルとの浸透、酷似点などを含め開高健の文学世界を俯瞰する。

著者 吉岡 栄一 著
ジャンル
出版年月日 2017/06/10
ISBN 9784865980349
判型・ページ数 A5判・380ページ
定価 2750円(税込)
在庫 在庫あり
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内容説明

「人間らしくやりたいナ」(サントリー・トリスウイスキーのコピー)で一躍有名になった芥川賞作家開高健は、管理社会を批判し人間らしさを追求したジョージ・オーウェルの『1984 年』と『動物農場』に多大な影響を受け、自ら翻訳もしていた…。

開高健は、『オーパ!』、『フィッシュ・オン』など釣りをテーマにしたノンフィクション作品でも知られ、「開高健ノンフィクション賞」(集英社)もあるが、本書は開高のメインである全文学作品を取り上げ、各章に「開高健とオーウェル」という項を設け、開高の文体分析はむろんだが、浸透、酷似点などを含め開高健の文学世界を俯瞰する。

《目次》
第1章 求心力から遠心力の寓意世界へ――「パニック」
第2章 遠心力を用いた現代寓話――「巨人と玩具」「裸の王様」
第3章 アレゴリカルな自伝的小説の試み――「なまけもの」「二重壁」「フンコロガシ」
第4章 遠心力の文学への回帰と提喩の世界――『日本三文オペラ』『ロビンソンの末裔』「流亡記」「屋根裏の独白」
第5章 ノンフィクション・ノベルからルポルタージュへ――『片隅の迷路』『日本人の遊び場』『ずばり東京』『ベトナム戦記』
第6章 ルポルタージュからふたたび小説へ――『見た 揺れた 笑われた』『青い月曜日』「玉、砕ける」「ロマネ・コンティ・一九三五年」
第7章 ベトナム戦争を題材とする作品群――「兵士の報酬」「フロリダに帰る」「岸辺の祭り」『渚から来るもの』
第8章 ベトナム戦争のトラウマと「闇三部作」――『輝ける闇』『夏の闇』『花終る闇』
第9章 過去への遡行と晩年の作品――『破れた繭 耳の物語』『夜と陽炎 耳の物語』『珠玉』

《著者略歴》
吉岡 栄一(ヨシオカ エイイチ)
1950年、北海道生まれ。法政大学大学院英文学専攻博士課程満期退学。トルーマン州立大学大学院留学。東京情報大学名誉教授。日本コンラッド協会顧問。日本オーウェル協会元会員。『マーク・トウェイン コレクション全20巻』(彩流社)を責任編集。著書に『ジョージ・オーウェルと現代』、『村上春樹とイギリス―ハルキ、オーウェル、コンラッド』、『青野聰論―海外放浪と帰還者の文学』、『文芸時評―現状と本当は恐いその歴史』(以上、彩流社)、『亡命者ジョウゼフ・コンラッドの世界』(南雲堂フェニックス)、『単独者のつぶやき 書評と紀行』(鼎書房)、共著に『文学の万華鏡―英米文学とその周辺』(れんが書房新社)、『英米文学にみる仮想と現実』(彩流社)、『亡霊のイギリス文学 豊饒なる空間』(国文社)、『オーウェル―20世紀を超えて』(音羽書房鶴見書店)、『イギリス文化事典』(丸善出版)、『英語の探検』(南雲堂フェニックス)、共訳に『オーウェル入門』、『気の向くままに 同時代批評1943-1947』(以上、彩流社)、『思い出のオーウェル』(晶文社)など。

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