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フルトヴェングラー 悪魔の楽匠〈下巻〉《叢書・20世紀の芸術と文学》
フルトヴェングラーの名声には没後五十年となるいまもなお、暗い影がさす。下巻では、敗戦直前のドイツからの脱出劇、非ナチ化審理の過程、そして復帰後の活動を描く。さらに、遺された膨大なレコードから、『トリスタンとイゾルデ』や『指環』、ベートーヴェンの第九をはじめとする、伝説的名盤の数々を論評する。
著者 | サム・H・白川 著 藤岡 啓介、加藤 功泰 訳 |
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ジャンル | |
出版年月日 | 2004/11/01 |
ISBN | 9784871985321 |
判型・ページ数 | A5判・424ページ |
定価 | 3080円(税込) |
在庫 | 在庫あり |
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内容説明
フルトヴェングラーの名声には没後五十年となるいまもなお、暗い影がさす。彼が、ナチ政権下のドイツに留まるという、宿命的、悲劇的決断をしたためだ。一九三三年のナチスによる政権奪取後、数千人のインテリや芸術家は亡命した。しかし、フルトヴェングラーは終戦直前までドイツに留まった。この、決意ゆえに、彼は「ナチスの宣伝マン」「ヒトラーのお気に入り指揮者」「悪魔の楽匠」という、永遠に続く糾弾と非難の的となった。しかし、彼がナチに追従したどころか、公然とヒトラーやヒムラーに叛旗をひるがえし、生命の危険もかえりみず闘ったことを、本書は文献資料を駆使して克明に描き出す。下巻では、敗戦直前のドイツからの脱出劇、非ナチ化審理の過程、そして復帰後の活動を描く。さらに、遺された膨大なレコードから、『トリスタンとイゾルデ』や『指環』、ベートーヴェンの第九をはじめとする、伝説的名盤の数々を論評する。フルトヴェングラーには音楽や政治的存在の他にも種々の側面があった。読者は、この端倪すべからざる人物が問題の多い作曲家であり、多弁なエッセイストであり、日記を丹念に書き続ける人であり、誠実な友人だが逆らえば強敵となる男であり、しかも救いようのない漁色家であることを知るであろう。
《著者・翻訳者略歴》
サム・H・白川
アイダホ州の捕虜・敵性外国人収容所で生まれ、フィラデルフィア州で育つ。フレンズセレクトスクールで学ぶ。テンプル大学で英文学修士号を取得。フルブライト・ヘイズ奨学金を受けロンドン大学に学び、英語学および英文学博士号を取得。芸術一般についての著作多数。テレビドキュメンタリー番組で、(全米テレビ芸術・科学アカデミーの)エミー賞候補としてノミネートされること三回。ニューヨーク在住。
藤岡 啓介(フジオカ ケイスケ)
1934年東京都武蔵野市生まれ。早稲田大学露文科中退。
加藤 功泰(カトウ ノリヤス)
1931年神奈川県横浜市生まれ。アテネフランセ中退、早稲田大学露文科卒。
斎藤 静代 (サイトウ シズヨ)
1957年静岡県沼津市生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。